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施設園芸・スマート農業のための飽差(VPD)最適化マスタークラス:物理計算と気候制御
執筆: Inwoo Hwang • 2026年9月1日 • 施設園芸工学 & 植物生理学
オランダ型フェンロー温室や最先端の人工光型植物工場(PFAL)において、単なる相対湿度(RH)の管理だけでは十分な生産効率を達成できません。植物の根からの水・養分吸収(特にカルシウム)、気孔開度、および純光合成速度を決定づける本質的な物理指標は、葉内と周囲空気との間の飽差(Vapour Pressure Deficit, VPD)です。
1. 飽和水蒸気圧($e_s$)を求めるテテンス(Tetens)の式
温度 $T$(°C)における空気の飽和水蒸気圧は、熱力学的なマグヌス・テテンスの公式により極めて高い精度で算出されます:
$$e_s(T) = 0.61078 \cdot \exp\left( \frac{17.27 \cdot T}{T + 237.3} \right) \quad [\text{kPa}]$$
温室内の実水蒸気圧($e_a$)は、相対湿度($\text{RH}$ %)を乗じることで求まります:
$$e_a = e_s(T_{air}) \cdot \frac{\text{RH}}{100} \quad [\text{kPa}]$$
2. 葉温飽差($VPD_{leaf}$)と空気飽差($VPD_{air}$)の決定的な違い
蒸散による気化熱冷却や日射吸収により、実際の葉温($T_{leaf}$)は室温($T_{air}$)と1.5°C〜2.5°C乖離します。真の蒸散駆動力を正確に把握するには、赤外線放射温度計を用いた葉温基準の飽差($\text{VPD}_{leaf}$)制御が不可欠です:
$$\text{VPD}_{leaf} = e_s(T_{leaf}) - e_a \quad [\text{kPa}]$$
- 最適制御領域(トマト・キュウリ等): $0.85\text{ 〜 }1.25\text{ kPa}$。気孔が十分に開き、健全な蒸散と光合成が持続するゴールデンゾーン。
- 低飽差リスク($< 0.4\text{ kPa}$): 蒸散が停止し、カルシウムが果実先端に届かず尻腐れ病(Blossom End Rot)が発生。過剰な溢泌水により灰色かび病等の菌害を誘発。
- 高飽差リスク($> 1.6\text{ kPa}$): 植物が水ストレスを感知し気孔を閉鎖。光合成速度が激減し生育が停止。
オンライン飽差(VPD)計算ツール
温室や栽培室の環境数値を入力して、リアルタイムの飽差・露点をシミュレーションできます。
VPD計算ツールを起動 →